世界観
超科学文明が頂点に達した時代、資源と覇権を巡る「聖戦」は地表の均衡を破砕した。 地殻変動・気候崩壊・磁気異常──地球そのものが“反転”を始める。
そこへ次元の亀裂から降り注いだのは、光粒子のような未知の存在。 それは既存生命を改変し、生態の底を塗り替え、文明の残骸に新たな秩序を芽吹かせた。
生き残った人々は地下・軌道・海底から帰還し、 失われた“自然”と改変された“新しい自然”のあいだで、再生を模索する。
舞台:白き峡谷と三つ鱗の霊廟
かつての中国大陸・湖南省。白い石灰岩は夜を吸い、月光で青銀に冴える。 峡谷底には針葉樹の森と黒い霧、乾いた風の底に古い歌のような残響が漂う。
切通しの先、御影石の柱は三つ鱗を刻み、太極図と幾重もの魔法陣を抱えた霊廟が口を開く。 そこは“陰”と“陽”が均衡するはずの結節点──だが今は、均衡そのものが歪み始めている。
世界地図
歴史:統合歴までの道
“世界が終わった日”から、再生が始まるまで。 断絶と再統合の一五〇〇年が、いまの秩序を形作った。
旧暦末期:超科学文明の飽和
地上は飢え、宇宙は奪い合い、資源戦争は“聖戦”へ変質。各地で重力兵器・気候兵器が解禁される。
混沌黎明(Dawn of Chaos)
次元の裂け目が発生。光粒子のような“何か”が流入し、生命を改変。地殻・磁場・潮汐が連鎖崩壊。
漂流期:地下・軌道・海底の時代
生存圏は分断。帰還者たちは各地に「避難層都市」を築き、失われた地表を“禁足地”と呼ぶ。
再生期
古い技術と新しい霊子活用技術(魔術や魔法)が結び付き、魔導工学、魔法錬金術・変性適応学が体系化。
統合歴 5033
峡谷都市群と航宙残存国家の交流が再開。霊廟の封印揺らぎが観測され、“双蛇ノ縁”の章が始まる。
術理:陰陽・五行・符術
この世界は”霊子”(れいし)もしくは”魔素”と呼ばれる最小単位の半物質が存在し、これの単位が大きくなると魔力と称される。霊子は陰・陽いずれかに分かれており、ほぼすべての生き物が陰・陽のどちらかに偏っている。 また、”術”は陰陽の偏りを五行(木火土禁水)で整えたり、乱したり、増幅させたりといった方法で行使するのが東側に主に流通する魔術(魔法)と呼ばれるものである。 主人公が使う符術は日本の陰陽道に由来するものである。
相生(外周)/相剋(五芒星)
勢力:再生世界の群像
峡谷都市連合
湖南跡の峡谷に築かれた自治都市の連盟。変性した森や霧と共存し、 符術で水路・灯り・防衛をまかなう。
霊廟守護の一族
三つ鱗を家紋とする古い一族。霊廟の封印と太極図の意味を受け継ぎ、 陰陽の均衡が崩れぬよう監視を続けている。
航宙残存国家
旧世界(Dawn of Chaos前)の覇権国家群が前身。軌道居住圏から降り立ち、 科学技術と魔法技術を掛け合わせて、第二の産業革命を起こそうとしている。
変性の民
Dawn of Chaos後に現れた、新たなる人類種の総称。獣人・エルフ・精霊など 多様な姿を取り、人と長く交わる種も多い。
モンスター(魔物・魔獣)
Dawn of Chaosと共に現れた、人類と変性の民を狙う脅威。
一部は魔術を扱い、肉や毛皮・植物系モンスター由来の素材は、
武具やポーションの貴重な資源となる。
魔物の肉は魔力を多く持つものほどおいしい。したがって、高ランクモンスターほど味は美味となる。
魔族
大陸北方に国を構える高魔力の種族。悪魔と契約し、 「自分たちこそこの地の王」と考える過激派を内包する。
登場人物
滝野 縁(たきの・えにし)
極東より来た術師にして剣士。空間・地形・水・雷・強化を重ねる多層符術の使い手。
陰陽の偏りを“循環させる”発想で戦う、整流型の異端。
ヤオ
陽の気を司る白銀の長髪の男。
変生の姿は白銀の大蛇。拳は刃を凌駕し、陽の奔流で環境を震わせる。
ユエ
陰の気を操る黒のロングウルフの少女。
変生の姿は黒鉄の大蛇。影と風をまとい、不可測な軌道で翻弄する。
使役獣
狗神:白曜/黒曜。
ウスハ(薄翅蜉蝣)、アオイ(大紫)、稲(管狐)──縁の号令一下に動く眷属たち。